濃いお茶がこわい

ブログ名は、落語「饅頭こわい」のさげ。よく出来た話である。

【読書log】なんとなくな日々/川上弘美 *再読*

年の年末から、何とも忙しい日々を送っていた。異物のクレーム対応、度重なる取引先による監査。詐欺師に出会ったり、友人が悪徳商法らしき仕事に就いていたり、何でもありなんだなと思うこの世界。その反面、良いことにも出会っている。ステキな女性と知り合いになったり、弓道が楽しくてたまらないし四段に受かったり。良い意味でも悪い意味でも、また違った世界を見ることができている。何とも面白い。今年は良い年になりそうで、楽しみである。川上弘美のように、なんとなく、ステキな日々を送ることは私にはできそうにない。けれど、私なりに充実した日々を送ることはできる気がしている。できるだけ、生産性のある日々を送るように気を付けてみる。

なんとなくな日々、適当なタイトルの割に結構良い。とりわけ好きなのは、川上弘美と甥っ子の話。「ぼくはね、変な顔なの。毎日鏡を見るたび、変だな、と思うの」と言いだす。でも、ある日突然、「おばちゃん。ぼくは自分のことを変な顔だと思うことをやめたよ」と言う。そして、こう続ける。「自分で自分を、変な顔だなと、この先ずっと思うのは、可哀想だと思ったの。よくよく見ると、可愛い部分もあるなって、そう思うことにしたの」まだ子供のくせに、良いこと言うわぁ。と川上弘美も感嘆する。

自分で自分を褒めてあげること。自分の可能性を信じてあげること。言い方を変えれば、脳は案外バカだということ。思ってもない自分がまだそこにいるのに、知らないうちに素通りしてしまっているとしたら、なんともったないことだろう。やればできる、なんて、精神論かもしれないけれど、所詮脳は意志に騙される。つまり、私は天才だと思うことに付け入る隙はないのである。私はおおよそのことについて天才的である。スポーツ万能でかっこいいし、賢い。そうやって思い込むことは、誰に咎められることもない。ただ、少しだけ、哀しい。笑。