濃いお茶がこわい

ブログ名は、落語「饅頭こわい」のさげ。よく出来た話である。

【読書log】砂漠/伊坂幸太郎 *再読*

明けました。今年も、着実に明けた模様で何よりであります。前々から、「あと少しで明けそうよ」「そろそろだぞ」などと前触れも申し分なかったと思われます。明けまして、おめでとうございます。本年もどうぞよろしく。今年は、申年。どうしても「去る」という語感が強くて、とてつもない速度で去って行くのはやめてくれ。そんな気持ちで新年を迎えたのであります。まぁまぁ、ゆっくりしていけばいいじゃん、と思う次第です。

伊坂幸太郎を読んだことないよー、って人には、まずオススメしようかと思っている、『砂漠』。これが、ハンパないんですよ。大学生たちが、麻雀する日々の中でホストに絡まれたり、超能力が出てきたり、時に空き巣や通り魔と戦う、そんなステキな学生生活のお話。なかでも、西嶋というキモヲタみたいな奴が出てくるんですが(私のなかではそこそこの顔立ち)、こいつがステキすぎるですよ。「その気になればね、砂漠に雪を降らせることだって、余裕でできるんですよ」「馬鹿を見ることを死ぬほど恐れている、馬鹿ばっかりですよ」「偽善は嫌だとか言ったところでね、そういう奴に限って、自分のためには平気で嘘をつくんですよ」。

社会は砂漠だとすると、その中で自由にやっていいよ、って言われても、正直困る。どこに何があるのかなんてわからない。それと同じように、私たちの人生も、どうやったら普通の生活が営めて、あわよくば幸せになれるかなんて、わからない。だから、踠いて喚いて、逃げ回って、どうすりゃいいんだって。そうやって生きていくほかない。そうしてみると確かに、学長の言う通り、人生における最大の贅沢とは、人間関係の贅沢かもしれない。偶然、砂漠の上で出会う人たちによって、私の砂漠での生活は、潤っている。