濃いお茶がこわい

ブログ名は、落語「饅頭こわい」のさげ。よく出来た話である。

【読書log】カキフライが無いなら来なかった/せきしろ×又吉直樹

大学のゼミの同期が結婚をした。新たな門出は、筆舌に尽くし難い。できる限りの祝福を送る。すると、牧師が「二人は夫婦になりました」的な発言をする。それだけは、どうしても違和感があるのだけど。新郎新婦のスピーチも良かった。二人の軌跡を知り、その道程を推し量ると、頭が下がる思いになる。私はただただ「末永くお幸せに」と、心のなかで祈るばかりである。

それよりも何よりも(…申し訳ない)、驚いたことが二つあった。

まず一つ目。挙式が終わり、披露宴会場へと進む。席次を見ながら自分の席へ行くと、席札が置いてあり、その裏に新婦からメッセージが書いてあった(新婦友人で参加した)。「遠いところから来てくれてありがとう(中略)森ちゃんは、私の旦那に似てる!森ちゃんは、実は私の中で、ゼミの中では『旦那にしたい男子No.1』だよ!」。…何と、一方的にフラれていた。

そして、もう一つ。同じテーブルを囲むゼミの同期が、綺麗だった。ぼーっとするその横顔に、目を奪われていた。もちろん当時から可愛かったのだが、今になって、とても綺麗で見惚れた。たぶん、同じゼミの男性も揃って共通の認識だったと思う。綺麗になったなぁ。「森ちゃん、結婚の予定は?」と聞かれたので、「うーん、無いね」と返すと、笑って「私もだけど」と言う。居直る仕草が、また綺麗だった。

さて、せきしろ×又吉直樹『カキフライがなければ来なかった』は、意外とすごい。そんな印象。基本的に右ページをせきしろ、左ページを又吉が担当し、自由律俳句を掲載している。日常に潜む様々なことへの視点やアングルが素晴らしい。一般人のちょっと先を切り取っているような、「一般人のリーディングピーポー」と表されても良いくらいな気がしている。何かに気づかされる瞬間は良いことなのか。自分の感情の奥底にいたものをまじまじと見て、笑う、驚く、喜ぶ、怒る、泣く、悲しむ…。それは大切なことだと認識している。私自身こうしてブログに書き殴っているその根幹には、感情の発見や揺らぎがあるのも事実だ。でも大抵は、aikoを聞いて「恋してぇー!」と、思うくらいで丁度良い気もしている。