【読書log】超釈 走れメロス/森見登美彦
かつての後輩と飲んでいて、勧められた本だった。「森見登美彦の本の中で『超釈 走れメロス』が一番好きです」。面白いの?と聞くと、原作を知っていれば。と条件付き。原作を読んで映画を見ることはあったが、原作を読んで、そのリメイクの小説を読むことは初経験。なかなかの楽しみ方だ、と期待に胸膨らむ感じがした。あの、何と言うか…ドゥ、ドゥフフ。ドゥフフ。そんな心境であった。
読み始めてみれば、期待のさらに上を行っていた。面白い。ここまでのレベルでリメイクを図られば、ご馳走様でした、と言わざるを得ない。ただ、面白いと言ったのは、確かにエンターテイメント性もあるのだが、ステキな感覚に浸ったからだ。あるメロディラインに、別のメロディラインが重なる。森見登美彦『超釈 走れメロス』を読みながら、裏で、太宰治『走れメロス』が流れている。本線と副線が見事に作用しているような、あの快感。たまらん。
RADWIMPS「グーの音」の後半差し掛かり部分を思い出して、久々に聞いてみた。やっぱ良い!かっこいい。伊坂幸太郎が「音楽と小説は、映像を喚起させるという点で同じ括りである」と言っていた。それは、ひょっとすると、凄まじいことなのかもしれない。文章を読んだり、音楽を聞くと、人それぞれ想像を広げる。それが、著者や作者の手の届かないところで行われている。良い悪いと評され、価値を問われている。このlogも同じ立場である訳だが、悪しからず。
RADWIMPS「グーの音」