濃いお茶がこわい

ブログ名は、落語「饅頭こわい」のさげ。よく出来た話である。

【読書log】猫を拾いに/川上弘美 *再読*

癒されたい、と唐突に思ってしまった。私ももう歳だな、と自虐的になる。時々、癒されるタイミングがある。それは、ホームセンターに行くときだ。ホームセンターに資材や備品を買いに行くときは、必ずと言っていいほどペットコーナーに立ち寄り、子犬や特に子猫を眺める。一人なので、「かわいいねぇ」などと漏らすことはできず、無表情を貫いている。だから、たぶん、そのうち職務質問されるかもしれない。それを思ってか、「無表情なのは、常にそうなのですよ」とアピールをするため、一度熱帯魚コーナーを一巡する。そうしてペットコーナーに行き、できるだけ立ち止まることなく去ることにしている。ちょこっとヤバいやつかもしれない、と、自分でも思う。

まぁ、立ち寄ってみたところで飼えないので、仕方なく、いろいろなことを利用する。今回は、川上弘美の『猫を拾いに』に、お世話になることにした。川上弘美の文章に、なぜか、癒されるのだ。テンポがゆっくりなのか、ゆったりとした心地よさが文章にある。それでいて、興味深い。女性の感覚を、ただただ眺めているような感じがする。世間ではよく、「女性の考えていることはわからない」と言われる。逆に、それほどわかりたいし、知りたいのだ。けど、説明するのも野暮なのだと思う。だから、川上弘美の文章を読むと、女性の思考や感覚が垣間見えた気分になって、惹き込まれる。そして、もれなく癒されることとなる。