濃いお茶がこわい

ブログ名は、落語「饅頭こわい」のさげ。よく出来た話である。

【読書log】PK/伊坂幸太郎

朝4時半に目が覚めた。また眠りにつこうとするが寝付けず、徐々に空が白んできた。今日一日やることがない。にもかかわらず、6時前から活動を開始しなければならない状況になってしまった。困り果てる、という状態を超えて、気味が悪かった。洗濯物を干した後、私はとりあえず、車で三十分ほど離れた街に出た。

普段は賑やかな街並みも、休日の朝7時半となれば静かなもので、イヤフォンから流れる音楽が街全体と共鳴しているかのようだった。チェーン店のコーヒーショップに入り、タマゴサンドとアイスコーヒーを頼んだ。地下フロアの席に着くと、すぐさま伊坂幸太郎の『PK』を取り出した。

そこには、文庫本に似合う楽しさがあった。手のひらサイズのユーモアと会話のセンス。文庫本だからこそ、この物語の良さが際立つと言いたいくらい、サイズと内容がマッチしている。と、にやにやしていたのは三部構成のうち、二部を読み終えるまで、であった。

たぶん初めて、伊坂に苦言を呈す。なぜ、一部二部、そして三部との関連を強めてしまったのか。それぞれに独立した面白さがあり、大筋も異なる。それらがほのかに関連があるようであれば、まだ見過ごすこともできただろうに。それぞれが回収されているかどうかの問題ではなく、互いに響き合っているという具合で良かった気が、どうしてもするのだ。私は、審判の判定に野次を飛ばすサポーターさながらに「おい、おかしいだろ」、と叫びたくなった。