濃いお茶がこわい

ブログ名は、落語「饅頭こわい」のさげ。よく出来た話である。

【読書log】となりの芝生/伊集院静

「隣の芝生は青い(青く見える)」というのは、イギリスの諺。自分たちの庭にも芝生はあるが、隣の家の芝生の方がより青く見える。このことから、他人のことは良いように見える、という教訓である。私は、この諺が好きだ。他人を羨ましがっても、何も始まらない。そういった、手厳しさが、好きだ。

さて、いや、ただ、この本のタイトルとしてはどうなのだろうか。そして、イギリスの諺と語尾が異なる。

内容は、『週刊文春』にある、伊集院静への質問コーナーを集めたものだ。読者が伊集院へ質問を出す、伊集院がそれを読み、回答をする。そうなってくると、このタイトルはいささか、皮肉めいている。なぜなら、となりの芝生、ということは、「貴方たちにもこんな一面があるであろう」、そうとれなくもないからだ。「こうしてバカな読者を遇ってはいるが、「他人のふりして我が振り直せだぞ」。伊集院から、こんな声が発せられているような気がする。

となりの芝生が汚いからと言って、決して自分の芝生が青いと思いなさんな」と言いたげだ。もしくは、「どうでもいいことの集まりだった」と言うかもしれない。