濃いお茶がこわい

ブログ名は、落語「饅頭こわい」のさげ。よく出来た話である。

【読書log】たまげた録/原田宗典

ねぇねぇ、聞いて聞いて。という前振りは、果たして有効なのか。普段何気なく友人に使っている方も少なくないのではないかと思う。驚くべきことを今から伝えるから、よく聞いてね。と、ある程度の同調を強要してから話し始めるというのは少し気がひけるのだが。私の場合。もちろん、それが確かに驚くべきことなのであれば、全く気に止めない。ただ、そうでなかった時の目の泳ぎ様と言ったら、目も当てられないわけだが。

この『たまげた録』も同様の危険性を孕んでいる。たまげる、とは、漢字で「魂消る」と書くらしい。魂が消えそうになる程びっくりする、とは、一体どれだけのことであるのか。気になるところであるが、実際に読み進めてみると、大したことない(大したこともないことはない)。びっくりすると言うよりも、びっくりする著者の姿を想像して楽しむくらいであった。どうしてもタイトル負けしている上に、毎回同調圧力を感じ、モタれた。しかし表現は面白く、読み物としては悪くない。

そもそも私は、この原田宗典という方を紹介されて知った。読書好きのパートさんと読書トークしてた時、たまたま友人の結婚式が近かったこともあり、「原田マハの『本日は、お日柄もよく』はなかなかよかったですよ?」と紹介したところ、「原田マハ原田宗典なら知ってるけど?」「ハ、ハラダムネノリ?」「覚せい剤で捕まっちゃったけどね…笑」。こりゃ、たまげた。